はじめに「字が雑で読めない」「マス目にうまく収まらない」「書くのが遅くて授業に追いつけない」こうした悩みを抱える子どもたちは、実はたくさんいます。特に発達障害グレーゾーンの子どもにとって、「文字を書く」こと自体が大きなハードルになっていることも。でも、その苦手を“努力不足”や“だらしなさ”と決めつけてしまうと、学習意欲そのものが削がれてしまいます。今回は、そんな子どもたちに寄り添うための、ノート指導の工夫と具体例をご紹介します。書けない理由は、たくさんある
文字がうまく書けない背景には、さまざまな理由が考えられます:
- 空間認識が苦手で、字のバランスがとりにくい
- 運筆や筆圧に問題があり、疲れやすい
- 音と文字がうまく結びつかず、書く内容が頭に入ってこない
- 書くスピードが遅く、授業や課題に追いつけない
- 視覚・聴覚過敏で集中しづらい
決して「ふざけている」「やる気がない」わけではないのです。
ノート指導の5つの工夫ポイント
1.マス目の大きさと“枠の見やすさ”を調整する
書字が苦手な子には、一般的なノート(B5・8mm)では狭すぎることも。
おすすめ:
- 10~12mm程度の大きめマス
- 方眼ではなく、1文字用の枠つきドリル形式
- 行が交互に色分けされた罫線(ガイド付き)ノート
ノートは「書きやすくするための道具」。工夫で書字のストレスを減らせます。
2.「書く量を減らす」=配慮であって手抜きではない
全部を自分で書かせる必要はありません。
“学びの本質”は、書くことではなく「理解すること・考えること」だからです。
工夫例:
- キーワードだけ書いて、残りは印刷や貼り付け
- 選択肢・穴埋め形式にする
- タブレットや音声入力との併用もOK
「大事なところだけ書こうね」と声かけして、“厳しさ”ではなく“必要性”に意識を向けさせます。
3.「板書の時間差」を埋めるツールを活用する
黒板を写すのが遅くて焦る → 焦って雑に書く → 読めない・意味がない、という悪循環が起こりがち。
解決策:
- 板書の写真を撮って家でノート整理
- 教科書やプリントにマーカーで“見るだけ記録”
- 家庭教師や保護者が“見本ノート”を用意し、写すのは一部だけに
「写すこと」にこだわらず、「学習内容が頭に残る方法」を優先しましょう。
4.「書く前の準備運動」で筆記のストレスを減らす
手の動きがぎこちない子には、いきなり書かせる前に運筆練習や指のウォーミングアップが効果的です。
例:
- なぞり書き(線/丸/波線など)
- 指ストレッチ・グーパー運動
- 鉛筆をくるくる回す練習
- 鉛筆の太さやグリップを調整
「書ける手をつくる」ことが、書く自信につながります。
5.「上手に書く」より「意味が伝わる」を優先する
字のキレイさにこだわりすぎると、書くこと自体が苦痛になります。
声かけ例:
- 「ちょっと雑でもいいから、伝わればOK」
- 「あとで読み返せるなら、それで合格!」
- 「“きれいに書く日”と“速く書く日”を分けよう」
“正しく”よりも“継続できる”方法を一緒に探していきましょう。
よくあるQ&A
Q:「字が汚いままでいいんでしょうか?」
→ 書き方よりも「書けた経験」や「考えた内容」が大切。美文字は後からでも身につけられます。
Q:本人が「もう書きたくない」と言い出しました
→ 書く量や内容を見直すサインです。音声記録や口頭でのアウトプットに切り替えるのも有効です。
まとめ:「書く」が苦手でも、学べる・伝えられる
書字が苦手な子にとって、「ノートをとる」「黒板を写す」は大人が思う以上に大きなストレスです。
でも、その子なりに“学びを残す方法”は、たくさんあります。
書かせることが目的ではなく、
「学ぶこと・考えること」を続ける手段として、ノートを“使いやすく”工夫する。
その発想が、学びに対する前向きさを取り戻す第一歩になります。

