はじめに不登校の子が、学習を再開しようとするとき――「勉強についていけるか不安です」「もうクラスの子に追いつけないかも…」そんな声を、家庭教師としてたびたび耳にします。けれど、家庭教師として長年不登校の子どもたちに向き合ってきて確信していることがあります。学力の差以上に大切なのは、“学ぶ準備”ができているかどうか。焦って学力を取り戻そうとするよりも、まずは心の土台を整えることが、学びを続けるための鍵になるのです。なぜ「心の準備」が先なのか?
学校に戻る・戻らないにかかわらず、
不登校から学習を再開することには、見えないプレッシャーがつきまといます。
- クラスの進度に追いつかないといけない
- 勉強ができない=また居場所がなくなる
- 周りの期待に応えられないかもしれない
こうした不安を抱えたまま「とにかく勉強しよう」とすると、
学ぶことそのものが“苦しさ”の原因になりかねません。
まずは、心が「今の自分でも大丈夫」と感じられる状態を作ることが、
継続的な学習のスタートラインになります。
【ステップ別】不登校明けの学習再開法
ステップ1:学習ではなく“安心”を最優先に
学習再開の初期は、勉強よりもまず信頼関係の構築を優先しましょう。
- 雑談からスタートしてもOK
- 「今日は1問だけやってみよう」と声をかける
- 正解・不正解より、「机に向かえたこと」を肯定する
「できるようになる」より前に、「やっても大丈夫」と感じてもらうことが大切です。
ステップ2:「取り戻す」より「積み直す」意識を持つ
「どこまで戻ればいいか?」と焦るより、
「今どこがわかる? そこから少しずつやっていこう」
という発想が有効です。
おすすめは、以下のような方法です:
- 小学校レベルまで戻って“得意感”をつくる
- 一問一答形式で「できた実感」を積み重ねる
- 見るだけ・書くだけなど、負担の少ない教材を選ぶ
「自分は学べる人間なんだ」と思える体験が、何よりのエンジンになります。
ステップ3:学習スケジュールは“心の状態”に合わせて
毎日30分でもOK。
週1回からでも大丈夫。
大切なのは“やってよかった”という気持ちで終われるペースを守ることです。
無理に詰め込むと、「また無理だった」「やっぱり自分はダメだ」に逆戻りしてしまいます。
ステップ4:「学ぶこと」が生き方に結びつくように
学びを「単なる勉強」としてではなく、
「好きなことにつながる」
「将来やってみたいことのヒントになる」
というように意味づける対話があると、子どもは前向きに学び始めます。
家庭教師として大切にしたいスタンス
不登校から学びを再開する子どもたちは、
“外に出る”前に、“心の中で立ち上がる”という努力をしています。
そんなとき、家庭教師は“結果”ではなく“気持ちの変化”に敏感であるべき存在です。
- 「前より目を合わせて話せるようになった」
- 「1人で問題を読み始めた」
- 「“できた”と言って笑った」
…これらすべてが、立派な“前進”の証です。
まとめ:「取り戻す」のではなく「今から始める」
不登校明けの学習再開において、
「今の学年に追いつかなきゃ」
「みんなと同じじゃなきゃ」
という考え方は、ときに子どもを苦しめてしまいます。
大事なのは、“今のその子に合ったペースで学ぶこと”。
学力よりも、心の準備ができていることこそが、学び直しの土台です。
家庭教師は、そのスタートをそっと支えるパートナーでありたいですね。

