【家庭教師の視点】場面緘黙症の子どもにとって、“話さなくても学べる環境”のつくり方― 声を出さなくても、学びは止まらない ―

場面緘黙
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はじめに「質問されても声が出ない」「わかっていても答えられない」「話すことが怖くて、学習に集中できない」そんな状態に悩んでいる子どもたちがいます。それが、「場面緘黙症(ばめんかんもくしょう)」という状態です。本人の中には、「わかってほしい」「伝えたい」という気持ちがあります。けれど、不安や緊張で声という手段を使えないだけなのです。では、そんな子どもたちは、どうすれば“学び続ける”ことができるのでしょうか?答えはシンプルです。「話さなくても学べる環境」を整えること。今回はそのための具体的な工夫と、寄り添い方をご紹介します。“話すこと”と“学ぶこと”は別物

まず大切なのは、「声が出ない=学べない」ではないという視点です。

学校では「発言」「質問」「音読」など、声を出す場面が多く、
話せない=授業についていけない、と誤解されがちです。

でも実際は、

  • 黙っていても内容は理解できている
  • 表現方法を変えれば十分アウトプットできる
    という子がたくさんいます。

「声を出す」ではなく、
「理解できること」「伝えられること」をどう支えるか
が、家庭学習のカギになります。

“話さなくても学べる”環境づくりの3つの柱

1. 「話さなくてもOK」と伝えること

最初に必要なのは、“話さなくていい場所”であるという安心感です。

言葉にできない不安を抱えている子にとって、
「声を出さなくても大丈夫だよ」というメッセージは、
そのまま「ここにいていいよ」という肯定になります。

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声かけ例:

  • 「話せなくても、聞いてくれてるだけでうれしいよ」
  • 「答えは声じゃなくてもいいから、カードやジェスチャーでもOKだよ」
  • 「無理に話さなくていいからね。タイミングが来たらで大丈夫」

2. “話さない”ままで使える学習ツールを整える

「声」以外にも、学びや表現の方法はたくさんあります。
その子に合った“出しやすい方法”を一緒に探していきましょう。

◾ 主なツール例

方法活用例
指差し/選択肢カード「どれが答え?」→ 指さしてもらう/YES・NOカードで返答
ホワイトボード・ノート書いて伝える/表情スタンプで気持ちを表す
ICT(タブレット・アプリ)タイピング・チャット・録音などで回答
絵・イラスト絵で説明する/イラスト教材で読み取る練習

声を出すより、書いたり選んだりの方がラクな子もいます。
“できる方法”を尊重することが大切です。

3. 学習内容は“反応しやすいレベル”で設定する

学力に関係なく、場面緘黙の子は緊張や不安で思考が止まりやすい傾向があります。
まずは、「間違えにくい」「選びやすい」「反応しやすい」課題を用意しましょう。

◾ おすすめの始め方

  • 選択肢から選ぶだけのクイズ形式
  • 「〇か×」で答えるワーク
  • 絵や図を使った問題(言葉が少なくても理解できる)
  • 見る・聞くだけでOKの導入タイム

小さな「できた」を積み重ねることで、自己肯定感が育ち、徐々に“声以外の反応”が増えていきます。

家庭教師としての心がけ

焦らない・比べない・急がせない

・“反応の小ささ”に価値を見出す(目線・まばたきも大切なサイン)

・「その子のペース」を最優先にした授業デザイン

・保護者と連携し、進捗やサポートを共有(“声が出た/出ない”ではなく“安心できたか”を軸に)

まとめ:話せなくても、学べる。そして伝えられる

場面緘黙の子にとって、「声を出さなくても学べる場所」は、生きる力になります。
話せるようになることがゴールではありません。

「わかった」「できた」「伝わった」と感じられる経験こそが、
その子の“心を開く準備”になっていきます。

声の有無にとらわれず、
その子の「学びたい」を信じて、
家庭教師として静かに、そして確かに寄り添っていきたいものです。

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